今回は通関士に関してまとめました。
通関士とは
通関士とは、輸出入手続きを行う専門家であり、貿易関係の唯一の国家資格です。
日本と海外でモノの行き来が発生する場合、必ず税関に輸出入の申告が必要です。その際の申告や各種手続きを輸出入者の代理で行う仕事が主であり、一般的に有資格者は通関業者や商社、メーカーでの勤務が多いです。
通関士試験の試験日
通関士になるには年に一回行われる通関士試験に合格する必要があります。
学歴、年齢、経歴、国籍等についての制限はないので、誰でも受けることが出来ます。
試験は例年10月の第1日曜日に実施され、2019年度の第53回通関士試験は令和元年10月6日(日)でした。
試験内容
試験科目 | 時間 | 選択式 | 択一式 | 計算式 | 選択式・計算式 |
1.通関業法 | 9:30~10:20 | 35点(10問) | 10点(10問) | ||
2.関税法等 | 11:00~12:40 | 45点(15問) | 15点(15問) | ||
3.通関実務 | 13:50~15:30 | 10点(5問) | 5点(5問) | 10点(5問) | 20点(2問) |
通関士の試験科目は3科目あり、各試験科目ともマークシート方式です。
受験生はこの3科目を、午前から夕方まで一日かけて受験しますので高い集中力も求められます。
なお、既に通関業者の通関業務又は官庁における通関事務に従事している方で実務経験が5年以上ある方は上記3.通関実務の受験免除、実務経験が15年以上の方は2.関税法と3.通関実務の受験が免除されます。詳しくは下記税関のサイトをご覧ください。
合格点と合格率
通関士試験の合格基準点は例年おおよそ6割の得点率、また合格率は10%前後となることが多いです。
ただし、合格基準点は毎年合格発表と同時に発表されるため、受験時では明らかにされていませんが、合格率が毎年10%前後で推移していることから推測するに、合格点は一定の合格率を保つために調整される傾向にあるといえるでしょう。
また、合格点の最大の特徴として、3科目それぞれで合格基準点を越えなければならないということです。
具体的に説明しますと、
Aさん
通関業法 45/45点(得点率100%)
関税法等 60/60点(得点率100%)
通関実務 18/45点(得点率40%)
総得点 123/150点(得点率82%)
Bさん
通関業法 27/45点(得点率60%)
関税法等 42/60点(得点率70%)
通関実務 27/45点(得点率60%)
総得点 96/150点(得点率64%)
この場合、合格基準が6割とすると、合格するのはBさんだけです。
総得点ではAさんのほうが高いですが、通関実務の得点率が6割未満なので、この場合は不合格となります。
通関業法、関税法等、通関実務の全ての知識が満遍なく必要ということですね!
以下、直近3年間の合格率です。
区分 | 願書提出者 | 受験者 | 受験率 | 合格者 | 合格率 |
平成28年度(第50回) | 9,285 | 6,997 | 75.4 | 688 | 9.8 |
平成29年度(第51回) | 8,627 | 6,535 | 75.8 | 1,392 | 21.3 |
平成30年度(第52回) | 8,491 | 6,218 | 73.2 | 905 | 14.6 |
受験者数、受験率とも毎年同水準で推移しています。
第52回の試験のみ合格率が20%を超えていますが、翌年度は14.6%まで下がっています。
近年は合格率が10%を超えていますので、今後数年間で試験の難化、それに伴う合格率の低下の調整があるかもしれませんね。
難易度について
例年合格率は10%前後を推移していますので、決して簡単な試験ではないです。
勉強方法としては、通信講座を受講するか参考書を購入して独学で勉強するかです。
独学では難しいという意見もありますが、個人的な意見としては独学でも十分合格可能です。独学で合格した対策も別記事でまとめていますので参考に下さい。
申し込みと受験地について
受験願書は書面で提出する場合と、NACCSを使用して提出する場合があります。
詳しくは別記事にて解説しておりますのでご覧ください。
試験実施地は北海道、新潟、東京、宮城、神奈川、静岡、愛知、大阪、兵庫、広島、福岡、熊本、沖縄のいずれかになります。
本籍や現住所とは関係なくどこでも受験可能です。
あえて遠くの受験地で申し込むのも新鮮かもしれませんね。
合格発表について
合格発表は例年11月の末頃とされています。
試験が10月初めなので、約2カ月近く先という事ですね。
受験生にとっては気が気でない時間ですが、気長に待ちましょう。
まとめ
通関士とは・・・輸出入手続きのプロフェッショナル
試験日・・・・・1年に1回、10月の第1日曜日
受験科目・・・・通関業法、関税法等、通関実務の3科目(科目免除あり)
合格率・・・・・10%前後
合格基準・・・・全科目60%以上(※年度によって調整あり)
受験実施地・・・北海道、新潟、東京、宮城、神奈川、静岡、愛知、大阪、兵庫、
広島、福岡、熊本、沖縄
合格発表日・・・11月末
今回は気になる通関士試験の概要についてまとめてみました。
各項目の詳細は別ページでまとめていますので、そちらもご覧ください。
ありがとうございました!