国際的な平和と安全を維持を目的として世界ではあらゆる規制が定められています。
中でも海外へ貨物を輸出する際に必要になってくるキャッチオール規制に関してまとめました。
これから貿易業務に携わる社会人の方はもちろん、既に貿易の世界で働いている方の中でも、「キャッチオール規制って具体的にどういうこと?」と疑問に思われている方も多いのではないでしょうか。
実際に貿易事務で働いていても、社内システムで画一的にキャッチオール審査をしており、具体的な内容を理解されていないこともあるかと思います。
是非この機会にキャッチオール規制に関して学びましょう。
キャッチオール規制の概要
- 大量破壊兵器キャッチオール規制及び通常兵器キャッチオール規制の総称
- リスト規制の対象にならない貨物&技術
- 需要者と用途によって対象がかわる(客観要件とインフォーム要件)
- ホワイト国(グループA)は規制対象外
キャッチオール規制の趣旨
キャッチオール規制はリスト規制に該当しない全てのものを「キャッチ」するという意味合いでcatch allとされています。
専門的な言い方をすると、輸出貿易管理令(輸出令)と外国為替令(外為令)の別表の16項に該当するものの輸出を制限する規制です。
つまり、1~15項に該当するリスト規制以外の貨物という事になります。
ただしすべての貨物がキャッチオール規制の対象になるわけではなく、食料品や木材、皮革製品など、明らかに兵器などの開発に利用されようがないものは除外されます。
具体的に対象になるのは、HSコードが第25類~40類、54類~59類、63類、68類~93類、95類に該当する工業製品です。
また、詳細には「大量破壊兵器キャッチオール規制」と「通常兵器キャッチオール規制」に分かれます。
大量破壊兵器キャッチオール規制
下記のどれか一つでも該当する取引の場合は、大量破壊輸出兵器キャッチオール規制の対象となります。
要件 | 具体的には |
用途要件 | 取引先が当該貨物を核兵器等の開発や研究に使用する場合に該当 |
需要者要件 | 取引先が核兵器等を行う、過去行ったことがある企業や団体の時に該当 |
インフォーム要件 | 経済産業大臣から個別に通知を受けた時に該当 |
通常兵器キャッチオール規制
大量破壊兵器以外の兵器(武器)などの開発といった多岐に渡る用途に該当する取引で、国連武器禁輸国に輸出するときは、通常兵器キャッチオール規制の対象となります。
客観要件とインフォーム要件
インフォーム要件
インフォーム=経済産業大臣からの通知
輸出する貨物(技術)が核兵器等の開発に利用される恐れがあると判断した時は、経済産業大臣が輸出者に個別に輸出許可申請をするように、文面で通知が行われます。
もしもこのような通知が届きましたら、以降の当該貨物の輸出にはその都度経済産業大臣の許可が必要になります。
逆に通知が届かない限りは、インフォーム要件には該当しないとみなして判定を進めてOKです。
客観要件
輸出者の保有する情報から、要件に該当するかを「客観的」に判断することを意味します。
客観要件には、輸出貨物がどのような目的で利用されるかといった「用途要件」と、取引先がどのような輸入者かといった「需要者要件」があります。
用途要件
用途要件では、輸出する貨物がどのような用途に利用されるかを事前に確認する必要があります。
契約書や注文書などの取引先との文書や輸入者への直接の確認などにより、核兵器などの開発に用いられないことを明らかにします。
経済産業省のサイトにチェック項目が定められていますので、一つでも「はい」に該当する項目があれば用途要件に該当とみなされ、許可が必要です。
需要者要件
需要者要件では、輸入者または貨物を利用する者が大量破壊兵器の開発等を行っていないことを事前に確認する必要があります。
現在開発を行っていなくとも、過去にそのような事例があれば需要者要件に引っ掛かることもあります。
具体的には経済産業省が掲載している「外国ユーザーリスト」を確認する必要があります。
【最重要!】キャッチオール規制の判定フロー
ここまでキャッチオール規制の説明をしましたが、実際の取引がキャッチオール規制に該当するかを判定するにはフロー図を使用します。
経済産業省のサイトに掲載されているフロー図を必ず確認するようにしてください。
ここでは、特に重要な基本のフローを抜粋しましたので、概要の理解に役立ててください。
まとめ
- 16項に該当するものはキャッチオール規制の対象
- ホワイト国(グループA)への輸出は規制対象外
- 客観要件とインフォーム要件を確認する
- 明らかガイドラインを確認する
- キャッチオール規制の対象になれば経産省の輸出許可が必要
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