
今回はEPA判定における付加価値基準(VAルール)の判定方法に関してまとめました。
付加価値基準(VAルール)とは?
付加価値基準(VAルール:Value Added)
VAルールとは、判定する『産品』の生産工程のうち原産性があると認められる部分の価格を算出し、その価格の割合が一定の基準を超えた場合に原産と判断する方法です。
簡単に言うと、原材料の価格に加え、産品の製造にかかる諸々のコストの原産性が一定の割合を超えた時、原産と判断します。
判定方法
VAルールはCTCルールのようにHSを判定する必要はなく、以下の公式に当てはめて原産/非原産を判定します。

※QVC:Qualifying Value Content=原産資格割合
QVCが一定の割合(40%)を超えれば原産とみなします。
イメージしにくいので、実際の具体例を基に判定していきます。
シャツをVAで判定するとします。生産にかかる諸々の費用は以下の通りです。
材料 | 価格 | 原産/非原産 |
生地 | 50ドル | 原産 |
ボタン | 20ドル | 非原産 |
加工費 | 10ドル | 原産 |
利益 | 20ドル | 原産 |
生地は原産、ボタンは非原産、加工は国内で行われているとします。
利益を20ドル上乗せして、合計100ドルがFOB価格とします。
上記条件を公式に当てはめると以下の通りです。

QVCは80%となり基準値の40%を超えるのでVAを満たし、原産とみなします。
付加価値の計算に加える項目は?
VAルールでの計算に使用する費用には以下のようなものが含まれます。
「FOB価格」と認識していれば問題ないです。
- 原材料費
- 加工費やその他製造経費
- 販売費
- 人件費
- FOBに含まれる輸送費
注意点
VAルールは計算してしまえばCTCルールに比べて比較的楽に原産品判定を行うことが出来るので、VAルールに頼りがちですが、デメリットもあります。
それは、計算のベースとなる金額の変動に、判定結果が左右されやすいという事です。
原材料費や加工費は年度によって変動しやすい項目です。計算のもとになる金額が変われば当然QVCの結果の値も変わってきます。
基準値40%ギリギリで満たしていた産品は、この金額の変動によって非原産となる恐れがあります。要は、金額が変わるたびに、計算をし直さなければいけないため、判定後の管理が煩雑になりやすいというデメリットがあります。

まとめ
- VA判定は計算式に当てはめて考える
- 金額の変動に計算結果が左右されるので判定後のメンテナンス工数がかかる